<第55回 日本栄養改善学会学術総会>
食育で健康づくり 〜古都・鎌倉から世界へメッセージ〜

2008年9月5日(金)から7日(日)まで鎌倉市大船の鎌倉芸術館と鎌倉女子大学で、第55回日本栄養改善学会が開催されました。今年のテーマは「食育で健康づくり〜古都・鎌倉から世界へメッセージ〜」です。
学術総会で取り上げられるテーマは特定保健指導、食育、食の安全・安心などへの取り組み、栄養士・管理栄養士養成課程のコア・カリキュラムの検討など、栄養士・管理栄養士の業務に即した内容となっています。
年に1回、仕事の成果を発表し、参加者と意見交換・情報交換ができる場となっています。栄養士・管理栄養士を取り巻く最新の内容を手に入れる絶好の機会です。私たちは、7日午前中に鎌倉芸術館1階ギャラリーで示説発表を行いました。今年は久しぶりにモデレーター制の討議形式でした。

 

講演題目:事業所給食における財務管理に必要なマーケティングの視点
発表者:田中浩子、青山康子、岡田夕子、澤田好宏

 示説会場には朝早くから多くの方が聞きに来てくださり、本当にありがとうございました。熱いディスカッションが展開され、本当に楽しく有意義な時間でした。来年は北海道で開催されます。

<発表内容>
私の研究課題は、管理栄養士・栄養士のビジネスフィールドすなわち食域を広げることです。
外食、中食、内食を合わせたフードビジネス全体の市場規模は約70兆と、巨大なものですが、管理栄養士・栄養士が多く働いている給食の市場規模は外食産業の15%、3兆7000億円です。
また、養成校の就職先を見てみますと、管理栄養士、栄養士として就職する人のなかで給食関連の職域が大変多いことが分ります。
2002年からのカリキュラムで給食経営管理論の中でマーケティングや会計など経営学の分野が取り上げられるようになりましたが、仕事のなかでこれらが使いこなせるようになると、給食だけではなく食に関わるさまざまなビジネスフィールドで管理栄養士・栄養士が活躍できるのではと考えています。
 私たちは2002年からこの事業所でさまざまな取り組みを行っています。事業所給食ですが、喫食者の利用期間、頻度もさまざまで、「特定多数」からは、やや離れている状況での継続提供を行っています。そのような喫食者に対し、提供方法についてさまざまな工夫しています。その結果、2006年の本学会で発表したように、事業所で購入している野菜の量(利用者1人当たりに換算したもの)は、大幅に伸びています。
これをふまえて今年の発表です。給食における財務管理といえば、損益分岐点分析やABC分析などに限られており、赤字を出さないために、材料費や人件費などの圧縮など消極的なコントールに活用されている場合が多いようです。
私たちは、より積極的な利益の拡大と利用者の生活の改善を両立させることが管理栄養士、栄養士の役割の1つではないかと考えます。
緊急課題として昨年より原材料費の値上げが相次いでおり、当事業所でも本年1月に値上げをしております。値上げによる客数や客単価の減少が懸念される中、まだ数ヶ月ではありますが、比較的順調に乗り切れておりますので、速報として発表させていただきます。
こちらは、2002年から取り組んでいる内容をマーケティングの4Pで整理したものです。
価格戦略として、ここでは毎日7〜8品の主菜の提供し、日によって取りそろえている価格を上下させています。土日や給料日後の月末などは比較的高価格帯の商品、いわゆる「攻め」の品揃えをしています。それに対し、週の前半は比較的価格を抑えた「守り」の品揃えにしています。
プロモーションとしては、イベントメニューの頻度をかなり上げています。祝日や節句などと連動して行事食を提供しているところも多いと思いますが、年間364日の提供で飽きさせないために、たたみかけるようにイベントメニューをいれています。
 イベントの一環として、自分で取り合わせる定食や丼をメインとした定食に加え、2006年春より、サラダバーを使ったフルーツバイキングを月2回ほど実施しています。
フルーツバイキングは大変好評で、この数ヶ月、お客様の支持率が25%を超え、一人あたり約200g取ってくださっています。平日の果物の支持率は8%ほどで1人あたりりんご半分、オレンジ半分くらいの量です。
価格や品揃えに「振れ」を作ることによって、調理法や素材の変化と共に飽きの来ない食堂作りをしています。
このような取り組みの結果、客数・客単価の減少もなく、客単価は価格改定分を上回る状況で推移しております。
 当事業所のような「特定多数」から遠い事業所で、このような取り組みができたことは、給食に限らず、外食や中食など食に関わる広いビジネスフィールドで管理栄養士・栄養士が活躍ではないかと考えています。



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